
手のひらや足裏などに体温調節する特別な血管があるのをご存知でしょうか。
通常、体内の血管は寒いと自律神経の交感神経が優位になって収縮し体の中央に血液集めます。
逆に優位じゃなくなる(暑い、副交感神経が優位)と拡張して熱を逃して体を冷やします。
そうして体温調節をしています。
(1)体温調節する皮膚血管は大きく2種類に分かれていて一つは毛細血管。
もう一つは毛細血管を通らないで直接動脈と静脈をバイパスのように繋いでる血管があります。
(2)動静脈吻合(どうせいみゃふんごう)とかAVA血管、グローミューと呼ばれています。
(3)この血管は体温調節のため機能するもので普段は閉じているんですが、体温が上がって熱放散が必要になると交感神経の活動が低下して→血管が開いて(4)毛細血管の10,000倍の太さで大量の血液を流れる仕組みになっています。
AVA血管の血流量が増えると手からの熱放散量が増えるようになるので放熱が促進されることになります。
ちなみにAVA血管のある場所は(5)手のひらや足裏と指、耳、まぶた、鼻、唇など毛の生えてない皮膚の薄いところに点在しているのでそこを狙って集中的に冷やしてやると一度に大量の血液を流せることが出来ます。
また、(6)AVA血管を通った血液は毛細血管は通らずして冷えた血液をすぐに静脈に流せるので大量の血液を短いルートで心臓へと戻せます。
そうすると超効率的に体温を下げられる利点があります。
そのため首、脇、太ももに通っている太い血管を冷やすよりも早く体温下げられるとも言われています。
(7)ただ条件があって、冷やす時の温度が15℃程度じゃないといけません。
15℃より冷えた温度だと交感神経の活動が活発になって血管収縮が始まってしまうので温度には要注意。
冷蔵庫で冷やしたペットボトルくらいの温度でいいそうですよ。(冷えすぎるとどうなるかは次回お話します)
手軽にできる冷却法なのでてのひら冷却などと呼ばれています。
(もちろん、足裏等にもAVA血管はあるので同じように冷やす効果はあるかと思います。)
こんなに優れた熱放散機能を持ったAVA血管ですが他にも活躍する機能があるんですよ。
・・・次回へ続きます。
参考
(1)寒さと運動・作業 神戸女子大学家政学部 平田構造 臨床環境医学(第6巻第1号P14~18 1997)https://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/healthy/jsce/jjce6_1_14.pdf
(2)(5)(6)動静脈吻合の体力医学的意義 デサントスポーツ科学 Vol.18 https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/descente18_01_nagasaka.pdf
(3)基礎医学教育研究会HP [045] 皮膚の動静脈吻合https://gozasso.com/kikkenlab/045-arteriovenous-anastomoses-in-skin/
(4)日本経済新聞社HP 手足の冷え防ぐ6つのコツ カギ握るは「AVA血管」https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO23689110Q7A121C1000000/
(7)さいしょ糖尿病クリニック手のひら冷却https://saisho-dc.jp/blog/%E6%89%8B%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%82%89%E5%86%B7%E5%8D%B4