
一口にストレスと言ってもそれをどうとらえるかでも変わってきますよね。
相手の悪意を想定して受け止めたら辛くなりますが、気の持ちよう気のせいだと言われればまた受け止め方も気分も変わってきます。
人間の体って省エネで一度経験したものがずっと繰り返されて癖になることがあります。
姿勢の癖もそうですし、無意識に体を動かす動く癖、そして考え方にも癖があるんです。
過去の経験に基づいていつのまにかパターン化してしまい、意識的に考えようとしなくても瞬間的に自然に生じる考え(自動思考)や、
物事の受け取り方や考え方が偏ってしまい、現実を正しく捉えにくくなる思考の癖(認知のゆがみ)などがそうです。
本当は、その時々で問題になっている事柄も状況も違うことがあるのでパターン化された思考を元に行動することがストレスの原因になっていることもあります。
でも、自分のことを客観視して把握するのって意外と難しいですよね。
自分のことだけど自分が一番よくわかってない、自分が見えてないってことよくあります。
人間だもの^_^
じゃあ、その癖をどうやって修正して柔軟な適応力のある思考へと改善していくかという時に役立つのがコラム法です。
ストレスとなる出来事に対して1~5つの項目に分けてそれぞれ見返して考えを書き出していきます。
そこに気持ちの度合いを数値化してくと分かりやすくなります。
(1)第1コラムにはその場の状況
第2コラムにはその時の感情
第3コラムにはその時の考え
第4コラムにはその自動思考に代わる考え
第5コラムには変化し気持ちを書き込む
第1コラム | 第2コラム | 第3コラム | 第4コラム | 第5コラム | |
【状況】
その場の状況 不快な感情を伴う出来事 ※出来るだけ具体的に |
【不快な感情】
そのときの感情や気持ち 不安、悲しみ、落胆、怒りなど (強さ:0~100%) ※一言で表せることが多い |
【自動思考】
そのとき瞬間的に浮かんでいた考えやイメージ (確信度の強さ:0~100%) |
【合理的思考】
その自動思考に代わる考え方 ※考えが誤っていた、ではなく、考え方の幅を広げる練習 |
【結果】
考えを変えて気持ちがどのように変化したか (確信度の強さ:0~100%) 感情の強さ (確信度の強さ:0~100%) |
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記入例 | 昨日の夕方職場で分からないことがあった。誰かに聞こうと思い、先輩に声かけたが、怪訝な顔で「後にしてくれ」と言われてしまった。 | 落ち込み(70%)
不安(60%) 焦り(50%) |
この先仕事していけるのだろうか(80%)
自分は仕事ができない人間だ(70%) |
わからないまま仕事勧める方が問題だ。
先輩は他の仕事で忙しかっただけかもしれない。 |
落ち込み(40%)
不安(30%) 焦り(10%) |
(※心身健康科学 ストレスコーピング 自分でできるストレスマネジメント 坪井康次 東邦大学医学部心身医学講座 2010年6巻2号 図4認知再構成法におけるコラムより抜粋 )
面白いのはやる前とやった後では気持ちが変化するということ。
それぞれを数値で表現するところで客観視の助けになりますね。
特に第4コラムの合理的思考の時に別の視点の思考を書き込んだ後になると落ち込みや不安や焦りが減っています。
別の視点の考えを持つことがストレスを減らすことになるのがわかるかと思います。
有った出来事の一つひとつを丁寧に見返してみて客観的事実と主観的思考の比較することにより自分の自動思考に気が付くことが出来るという仕組みです。
自分で思い込んでるものが意外と裏付ける事実がなく過去の経験だけでその思考に陥ってることもありますもんね。
思い込みというのはやっかいで、上記のコラムの中では先輩「後にしてくれ」と言われて自分のことを「自分は仕事ができない人間だ」と結論づけています。
先輩の怪訝な表情を加味しても、それで「仕事ができない人間」とまで判断するのは早計です。
でも、これが自動思考、認知のゆがみというものでおそらくこの方は今までも些細な事柄でもすべて自分のせいにしてしまう思考癖の持ち主なのかもしれません。
これはもう何度も何度も今までそう自分に言い聞かせてきた自己洗脳の結果のようなもので、そうなるとその人の中であかたもそれが真実、それが正しいと自分の揺るがない信念になっていきます。
自分の根幹となすアイデンティティと結びついてくると癖を変えるのは至難の業で他人がちょっとやそっと言ったぐらいではビクともしなくなります。
人間はホメオスタシスといって現状を持続することを好み変化には弱い生き物。
新しく得る喜びより失う痛みを強く感じるため、新しいものへの挑戦より現状維持を好みます。
だから例えそれがつらくても苦しくても今のままを選択してしまう。
当然ストレスがいつまでも続いてしまいます。
そこから上手く抜け出すためにも自分の癖を気付かせてくれるコラム法はとってもよい方法かと思います。
意識が変われば行動も変わってきます。
ストレスに対して感情と体の反応はコントロール難しくても、思考と行動というのは自分の意識次第でコントロールが可能な部分。
変わりたくても変われない、どこを変えたらいいのかわからない、そんな風に1人悶々と悩んでいる時にちょっとやってみるのもいいんじゃないでしょうか?
ちょっと紙に書いてみるだけ。
合わなかったらすぐやめればいい。
もしかしたらストレスが減って今までと違う自分になれるかもしれません。
今回また長文になってしまいました。
抱えてるストレス軽減のヒントになれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考:
けいクリニック ストレスコーピングとは?ストレスにうまく対処して生活しやすくするためにhttps://www.kei-mental-clinic.com/column/636/
(1)心身健康科学 ストレスコーピング 自分でできるストレスマネジメント 坪井康次 東邦大学医学部心身医学講座 2010年6巻2号https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/6/2/6_2_2_1/_pdf/-char/ja
きらぼし学舎HPブログ https://kiraboshigakusha.com/blog/?p=6807