AVA血管で体温調節2

投稿日: カテゴリー: コラム
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引き続きAVA血管のお話です。

熱放散について毛細血管とAVA血管があるということは前回お話した通りです。

 

血管は温まると拡張して熱放散をし、寒くなれば収縮して熱が逃げないよう体の中央に血管集まるように作られています。

なので人間は暑くなると汗をかいて熱を逃すし、寒くなると手足への血流体の中央へ血を集めて熱を保とうとします。

そしてこれらの動きは自律神経の中の交感神経の支配を受けて機能しています。

 

AVA血管も通常は上記のメカニズムに従っているんですが、生命危機を感じると毛細血管とは逆の動きをする時があります。

 

東大医学部内科の吉利和教授がされた実験で(冷水(0℃)へ手を入れた時の皮膚温度と酸素圧の実験)、暖かい環境で熱いお湯に手足をつけるとAVA血管は収縮されて逆に寒い環境で急激に手足を冷やすと拡張してこれを繰り返していたのだそうです。不思議ですよね。

 

冷やした時

通常では血管は収縮するものですが、急激に冷やされた時は

毛細血管は収縮するがAVA血管は拡張します

温めた時

通常では血管は拡張するものですが、急に熱く温められた時は

毛細血管は拡張するがAVA血管は閉じます

 

この相反する反応を行ったり来たりすることが血液循環を円滑にしているとのことなんです。

温度調節する機能をもってる血管たち(毛細血管とAVA血管)なのに真反対の動きをするとはこれ如何に?と思いそうですよね。

 

どうやらこれって人間の持ってる生体防御反応からくるもののようです。

例えば冷やされる環境に身を置いた時に通常血管は収縮します。

いくら寒い環境で熱を逃さないために血管収縮させるとはいえ、皮膚細胞にとっては代謝も落ちるし血が通わなくなるし、それじゃそのうち皮膚細胞が死んでしまう。えらいこっちゃです。(この場合、皮膚細胞くんにとっては、の話と理解してください。)

この事態を避けるため、時々勝手にAVA血管が開いて一時的血流が再開されるそうです。(!!!)

血管が開くということは、熱放散をしようとしてることになります。そして交感神経は低下状態。

全身の熱バランスのことを考えれば末端の手足より心臓の方が大事なので熱を逃さぬよう血管収縮が当然ですが、一時的に血流再開して凍傷を防ごうとする生体の防御反応と言われています。

血液循環が止まるほどの低温だと神経伝導も止まるため血管の拡張収縮を支配する交感神経が停止してそのような動きになるのではないかということなんですね。

で、血流が再開すると体温も上がり神経活動もまともになる→まともになると本来の交感神経活動が機能して血管収縮が始まりまた手足から徐々に冷えていく、これを繰り返すそうです。

 

さて、この時々勝手にAVA血管が開いて冷温の繰り返しすることが体にどういうメリットになるのかというと末端冷えや霜焼けなりにくいらしいんです。

というのが、手足や耳の霜焼け出来る場合、AVA血管に障害があることが多いことがわかっています。

この機能が十分発達していると例えば毛細血管が収縮してて血流が悪くなっていてもAVA血管が拡張して多く血液流してくれるので霜焼けにもなりにくくなるという話なんですね。

体の不思議。神秘。人間の体って面白い。

 

ここで思い出したのが、

霜焼けや冷えの血行不良の改善に良いと聞いていた温冷療法(温冷交代浴)。

温かいお湯と冷たいお水に交互につけて血行を良くするというもの。

血流改善だけでなく自律神経(交感神経・副交感神経)を整えるのにも役に立ちます。

お湯につかると副交感神経が刺激され水につかると交感神経が刺激されます。

これらを交互に行うだけで自律神経の切り替えがスムーズになってバランスが整いますし、

それにより体温調節機能も正常に働くようになるという超簡単かつスグレモノ療法です。

もともと人間の体が持っている血管の冷温の切り替え機能。これを鍛えることで安定的な体温調節ができる体にもなっていくかと思います。

 

体温調節に大活躍のAVA血管。ちゃんと機能してくれるようにケアもしてあげたいですね。血行不良でお悩みの方ぜひ温冷療法お試しなってみてはいかがでしょうか?

 

 

参考

基礎医学教育研究会HP [045] 皮膚の動静脈吻合https://gozasso.com/kikkenlab/045-arteriovenous-anastomoses-in-skin/

東京原宿クリニックHP 自律神経の乱れに温冷交代浴が効果的https://th-clinic.com/2024/09/14/onrei/

寒さと運動・作業 神戸女子大学家政学部 平田構造 臨床環境医学(第6巻第1号P14~18 1997)https://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/healthy/jsce/jjce6_1_14.pdf

動静脈吻合の体力医学的意義  デサントスポーツ科学  Vol.18 https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/descente18_01_nagasaka.pdf

日本経済新聞社HP 手足の冷え防ぐ6つのコツ カギ握るは「AVA血管」https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO23689110Q7A121C1000000/

 

 

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