齢50も過ぎると体の変化とともに老いについて考えることも増えてきたお年頃。
ネガティブになりがちの話題ですが、なるべくなら元気で明るく過ごして生きたい、そう望む方も多いのではないでしょうか?
遠縁にあたる人で84歳になる方(女性)がいるんですが、いつも「いままで生きてきて今が一番幸せ」口癖で言うんです。
苦労したこともあったので人生の後半で幸福感を味わいながら暮らせるのは良かったねえ、と私も嬉しく聞いてたんですが、
コレ高齢になるとともに幸福度増して感じるエイジングパラドックス(加齢の逆説)現象によるものかもしれないんですよ。
年齢重ねると体も前みたく動きにくくなるし色々と制限も出てくる。
自信がなくなるしネガティブな話題も増えます。
なんとなく幸福感も下がるんじゃないか、そんな心配も出て来ます。
ところがどっこいこれが逆なんです。
(1)アメリカダートマス大学の経済学者、デービッド・ブランチフラワー教授の社会情動的選択性理論という研究で、人の幸福度は18歳から下がり始めて、47〜48歳で不幸のピークに達した後、また上がり出して最高値に達するのは、82歳以上だと発表されているそうです。
状況としては体力の衰えや喪失感、孤独感が増えていっているはずなのに幸福感が上がっていくのはなぜなのか。
詳しい解明はまだはっきりとはわかってはいないんですが、
(2)「人は人生の時間に限りがあると知ったとき、残された時間で満足できるよう、喜びや安心といったポジティブな感情を高める行動を自然に選択するようになる」という説が唱えられています。
これについては、高齢になると流動性知能は低下するけど結晶性知能は向上する、年をとっても記憶低下があるけど生活の知恵袋的な知能は成長していく、以前の記事の話とも通じています。
この状況をどうにかして良くしたい、自分の利益になるよう工夫してみよう、居心地よくしてみようというそういう気持ちは年取っても衰えない。
困難への対応も経験則からの解決策も持っているし、物事を受け止めもおおらかになる意識や多岐にわたる視点。
ネガティブ要素を排除する多くの術を自分の中に持っていてそれが幸福度に繋がっていく。
また、記憶低下、注意散漫、これも実はポジティブになれるひとつの要因になっているのではないかという説もあります。
(3)社会情動的選択性理論でのポジティブ効果現象を示す実験(写真を見て記憶する実験)で、
若い人達は写真の内容がどうであれ(ポジティブなものであれネガティブなものであれ)
感情を動かす写真を多く記憶にとどめているのに対して、中年、高齢の人達はポジティブな写真がよく記憶されていたという結果がでました。
つまり、年を重ねるとポジティブなものが優先して自分の記憶に残りやすい、注意を引きやすい、これにより満足度が高い体験の積み重ねが幸福感を生み出すというしくみです。
ネガティブなものは、記憶に残りにくい、忘れやすい、注視しない、最初から自分の中に取り込まないというのが無意識に出来ているのだということなんですね。
(4)さらに、高齢になると将来の時間的な限界がある程度予測されるようになってくるので、先の未来のことへの関心より今、現在どうであるかに意識が向きやすい。
これがマインドフルネスに通じているんです。
マインドフルネスというのは今、この瞬間だけを意識させて心を落ち着かせたりストレス軽減に使われる手法なんですが、それが自然と出来てる状態なので(5)高齢者はネガティブな出来事に遭遇してもあとに「引きずらない」傾向があるそうです。だからストレスも溜まりにくい。
これらのことから高齢者の幸福度が高いのもわかる気がしますね。
歳をとることはネガティブに捉えがちですが、歳をとったらとったなりの楽しみ方は出来るみたいです。
その先に幸せが待っているのなら82歳まで頑張って生きてぜひとも幸福度の最高値とやらを体験してみたい気になってきました。
皆様も幸福度の最高値を目指して一緒に楽しみながら歳を重ねていってみるのいかがでしょうか?
参考:
(1)(2)現代ビジネスHP 人生の幸福度は「82歳以上」が最も高い?高齢者ほど幸せな「エイジングパラドックス」が起きるワケ
https://dot.asahi.com/articles/-/246256?page=2
(3)(4)(5)日本心理学会HP 老いに伴う「弱み」と「強み」https://psych.or.jp/publication/world100/pw06/