衰える一方と言われている流動性知能。
これに異を唱えて驚異的な記憶力を発揮している方がいらっしゃいました。
(1)原口證さんは60歳の時になんと円周率10万桁暗唱されています。(暗唱時間は11時間!)
この年齢で10万桁まで覚えているというのは世界的にも珍しいことらしいです。
この驚異的な記憶力、どういう秘密があるのか気になるところですよね。
調べるとこの方特別な能力があるという訳でもないようで
20代の方たちと一緒に羅列した数字を暗記するテストしたんですが、だいたいの人は平均は7個覚えてるところ原口さんは13個。
20代を上回る記憶力を持っていることがスゴイですが、専門家の人の見解ではそこまで驚異的な記憶力は持っていない、
覚えてないのもあるので特異な能力の持ち主でないという結論でした。
じゃあ、どうやって覚えているのかというと普通の人がやるようにコツコツと努力して覚えていました。
ただ、自分なりの覚えるコツを持っていて数字に語呂合わせで単語を作る。
その単語を繋げて意味づけをしてストーリー仕立てで覚えていくんです。
これを繰り返して「10万桁の数字を全部、たった一つの長い物語」にして覚えているんです。凄すぎる・・・。
私からみたら苦行にしか見えないんですが、原口さんはこの作業が「覚えることが楽しくてしょうがない」と言っているんです。
「数字を変えるという事、物語をつくるということ、全然意味ないものを意味があるものに構造化すること、そして、それをもとにしてそれを引き出す」「その作業が面白くて、気が付いたら10万桁になっていた」ということなんですよ。
自分が楽しいからやってるもう趣味になってるんですよね。
流動性知能には年齢的な限界があるので、
原口さんがもし何もしていなければ一般の人と同じように平均的な記憶力(流動性知能)だったでしょう。
ただ覚えるための工夫としてストーリー仕立てて覚える行為は結晶性知能を駆使したもの。
流動性知能と結晶性知能は互いに影響しあう相関関係があるので、
日々の覚える作業の中で両方の能力が鍛えられて
記憶力テストでも20代も凌ぐ好成績を叩きだしたのだと思います。
高齢でも人間好きを突き詰めると驚異的な力を発揮できるんですねえ。
あと、やはり脳は使っていくと高齢でも伸びる能力はあるんですね。
昔と比べると超高齢化社会で随分寿命も延びているし、若々しい人が増えていますよね。
立命館大学 土田信明氏のお話では
(2)アメリカやヨーロッパの研究では認知症の有病率が減ってきているらしいんです。
実際、2000年代から2015年ごろの研究では「日本人の中高年の身体的、認知的機能が」「著しく向上していることが」わかっていることから
「後期高齢者や超高齢者に該当する方たちの能力開発に注目されている時代になってきている」と述べられていました。
こうやって言われてると高齢者まだまだ伸びしろがある気がしてきますね。
私も少し物忘れのショックがずいぶん落ち着いてきました。
今回3回に分けて長くなりましたが、結晶性知能と流動性知能のお話いかがだったでしょうか?
歳を重ねるのがだんだん辛くなってきた自分でしたが、希望が持てそうな心持ちで元気になってきました。
残された機能でも出来ることはまだまだありそうじゃないですか?
皆様にも何か感じるところあれば嬉しいです。
明日からまた一緒に頑張っていきましょう~
参考:
(1)教育心理学年報第57集日本教育心理学会公開シンポジウム 「加齢に伴い向上・維持する能力を発掘する」333頁https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/57/0/57_329/_pdf/-char/ja
(2)教育心理学年報第57集日本教育心理学会公開シンポジウム 「加齢に伴い向上・維持する能力を発掘する」345頁https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/57/0/57_329/_pdf/-char/ja