ストレスがあると病気になるのは本当か?
先日(2018年4月12日)朝日新聞で面白い記事を読みました。
大阪大免疫学フロンティア研究センターの教授 鈴木一博さんが研究されている
ストレスと免疫とのお話でした。
病は気からという諺は、あるけど本当にそうなのか?というところから記事は始まります。
要約すると
強いストレスで病気が悪化するというのは論文でも多く発表されているところなのですが、その実際の仕組みはほとんどわかってない、というのが現状のようなのです。
鈴木先生はその仕組みを解明する研究をしている方で
交感神経は、免疫反応の中心を担うリンパ球に何かしら影響を与えているのか、というのをテーマにされているそうです。
交感神経は、ストレスがかかるとノルアドレナリンという神経伝達物質を出しています。
そのノルアドレナリンを受け取る分子がリンパ球にあるそうなのですが、
ノルアドレナリンが出るとリンパの動きが悪くなって免疫機能が下がるということなのです。
詳しく説明すると、リンパ管の中にはリンパ球が集まっているリンパ節という場があるのですが、
ノルアドレナリンが放出された時リンパ球がそのリンパ節から出られなくなってしまうそうです。
そうなると、病原体を攻撃するリンパ球が体内をめぐることが出来ず免疫機能が下がってしまう可能性がある、ということなのです。
そうなるとやはり病気にかかりやすくなります。
病は気から・・・というのはホントなんですね。
普段、交感神経が活発に動くのは夜が明けてから昼の間。
活発に動き回ると病原体にも遭遇しやすくなります。
通常なら、その間にリンパ球はリンパ節に多く集まり待機をして溜めておいて、
交感神経が弱まる時(夕方~夜)がくればリンパ球が出ていけるようになって
病原体への攻撃が一気に始まるという効率的な動きになっているのです。
そして交感神経が活発な時というのは、ストレスを受けた時も当てはまります。
ストレス中は交感神経優位状態になります。
ところが、一時的なストレスなら良いのですが、
ずっとストレスが続いてしまうと交感神経が弱まる時がなくなります。
そうなるとリンパ球もずっとリンパ節から出られないまま・・・、
病原体があってもそれにも攻撃できない状態となり免疫機能が下がる、
という仕組みのようです。
確かに、今まで交感神経優位状態が続くと免疫が下がるというのを言われているのは知っていました。
ただ、細胞レベルの話では知りませんでしたのでなるほど~と思いながら読みました。
生活していく上でストレスがすっかりなくなるということは期待できません。
ストレスが全て悪いというわけでもなく、逆に多少のストレスがある方がやる気や達成感も得られて良いこともあります。
人間は、交感神経と副交感神経を切り替えながらストレスコントロールするように出来ています。
そのコントロール出来なくなった時に体調不良が現れてきますので、
自分にとっての程よいストレス調整が健康への近道となりますね。
ストレスが病気に密接にかかわっていますので、見過ごさず、我慢しないでストレス緩和する方法を見つけていくことをおススメします。