人間の体はいつも緊張とリラックスを繰り返すことをしながら体調を整えています。
自律神経には交感神経と副交感神経が交互に優位になって体をコントロールしている、というのはよく知られています。
緊張状態になるのが交感神経、リラックスするのが副交感神経。
この副交感神経がさらに細かく腹側迷走神経と背側迷走神経に分かれているということ(ポリヴェーガル理論といいます)が注目されるようになってきました。
腹側迷走神経は横隔膜より上の顔や声帯、耳、心臓、肺の神経とつながっていて人の表情や声の状態で安全や安心を察知して交感神経を抑制する役を担っています。
この神経が優位になると気持ちを落ち着かせリラックス状態になれます。
背側迷走神経は横隔膜より下の胃腸など内臓につながっている神経で生命危機の場面時にフリーズして身を守ろうとします。
この神経が優位になると無気力、うつ状態、低覚醒、失神、感情や感覚が鈍くなるといった状態陥ります。
特に交感神経を抑制する役割の腹側迷走神経はストレス耐性をつけるのに大事な神経なんですが、
生物の中でも高次な部類の神経で生物進化としてもまだ新しい部類になっています。
そのため、この神経は未完成な状態のまま生まれて赤ちゃんから思春期までの成長過程の中で安心を得る感覚が育つことで腹側迷走神経が完成するそうです。
例えば、赤ちゃんの頃は腹側迷走神経が未発達で使えないため自分でストレス対応ができませんよね。
でも興奮してぐずっているところに大人が落ち着かせて泣き止ませて交感神経を落ち着かせる体験を増やしていくと
腹側迷走神経が発達してきて自分で自分で調整できるような回路が育ってくるんだそうです。
腹側迷走神経が発達すると感情のコントロールが出来るようになるので情緒も安定し良好な人間関係構築にも良さそうです。
この神経が活性化されないと情緒不安定でストレスを感じやすくなってしまいます。
生きていくのにストレスを完全排除するのは難しい話で、ストレスをある程度受け止められる力をつけておくのも解決策の一つ。
腹側迷走神経が活性化すればストレス対策になるワケです。
ということで、まずは、安全や安心と感じられるものに目を向けてみたり、腹側迷走神経を刺激するような工夫を日常で取り入れるのが良いみたいですよ。
例えば、腹側迷走神経に繋がっている深呼吸、大きい声を出す、歌をうたう、顔の中心にギュっと力入れてみる、笑ってみる、安心できる人と会って話す、他者つながるなどがおススメです。
安全や安心が感じられるようになることでストレスに対応できる余裕が出来てくる。
安心を得るってメンタルにはとっても大事ことなんですね。
それがないと恐怖感や不安感で頭がいっぱいで本来のびのびした自分ではいられなくなってストレスも増えていきますので。
ストレスが溜まった時、自分が感じる安心とはどこなのか、どれなのか、そこを意識してストレス対応してみるのも良いのではないでしょうか?
参考
作新学院大学臨床心理センター研究紀要2019 12 号 p.9 – p.16 ポリヴェーガル理論によるプレイセラピーの有効性の理解の試み file:///F:/%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89/RSC12004%20(1).pdf
NPO法人カウンセリングオフィス SARA 人といるだけで疲れるのはなぜか ~安心感が自律神経に与える影響~https://sara-ch.com/column/column202309.html