おつきあいいただきありがとうございます。
第3弾です。
さて、前回の嗅細胞の再生の話からの続き。
嗅細胞再生に着目した「ドイツ、ドレスデン大学医学部の嗅覚・味覚クリニックの耳鼻咽喉科医トーマス・フンメル」さんは
もう20年も前から嗅覚訓練の研究始めていて、
「嗅覚訓練を受けた被験者では約30%に嗅覚の改善が見られたのに対して、嗅覚訓練を受けなかった集団では改善したのは6%」という結果が出たそうです。
このフンメルさんの論文の発表が新型コロナの爆発的な感染により改めて着目しはじめた、ということみたいですね。
日本でも嗅覚刺激療法のことは日本耳鼻咽喉科学会会報「嗅覚障害診療ガイドライン」で紹介されています。
また高知大学の嗅覚外来では臨床研究実施され障害が改善されたという結果が出ています。
「嗅覚刺激療法への期待 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/60/1/60_54/_pdf/-char/ja 日本鼻科学会会誌60 (1), 54-56, 2021」
さらに東京大学の研究では嗅細胞の再生についての研究がされていて、新しく生まれた嗅細胞というのは7~14 日の間に匂いのインプットがないと細胞死する報告が出されていました。
「東大病院HP 新しく生まれた嗅細胞の生死は特定の時期に匂い入力を受けるかどうかで決まる→ https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/__icsFiles/afieldfile/2019/07/03/release_20150212.pdf 」
驚いたことに匂いの刺激がないと嗅細胞は死んじゃうんですね。
逆に匂いの刺激与えてやると嗅細胞は増えていくらしいんです。
これらを踏まえると嗅覚刺激療法の効果が出る理由わかる気がします。
実際のところは嗅覚刺激療法が嗅覚を改善させるしくみとしてまだ完全には解明されてないので日本ではまだ一般的治療として扱われてはないんです。
が、学会でも紹介されているので前回紹介した小林耳鼻咽喉科さん始め他の病院でも積極的に取り入れて治療に役立てているところは多くありました。
香りを嗅ぐ訓練を続けるだけで良くなる可能性があるなら、有害の心配はないし、やろうと思えばいつでもできるのでおススメです。
家でも出来るし、嗅覚刺激療法のアロマオイルを使わなくても花系、柑橘系、薬味系、樹脂系の匂いものでなんでも代用可です。
慣れてきたらもっと色んな種類の香りを積極的に嗅いでみるのでもOKです。
ただ意識して脳へインプットするように丁寧にやってみてください。
とにかく新しい嗅細胞を育てて増やしていくために最初は匂わなくても3か月くらいは嗅ぎ続けるのが大事ですね。
今度試しにお店にサンプル置いてみようかなと考えています。
困っている方にお役に立てれば嬉しいです。
その4へ行きます。
嗅覚障害診療ガイドライン(日本耳鼻咽喉科学会会報 122 巻 (2019) 7 号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/122/7/122_995_1/_pdf)