最近、幸福学を研究している方の本を読んでちょっと面白かったのでちょびっとご紹介。
幸せのメカニズム 前野隆司著 講談社現代新書
著者の前野隆司さんは慶應義塾大学大学院で幸福学の研究されてます。
まず幸福学っていう研究分野があるってことに驚き。
言葉だけ聞くと心理学、哲学、宗教、自己啓発、占いなどが絡んでくるのかなと思ったんですが、そうではなかった。
もっと身近でもっと実践的なものを目指していて、研究で得たデータを元に体系化し普段の生活や仕事にも落とし込んで、幸福度が上がる製品やサービス開発に役立てることに重きを置いています。
何をもって幸福か。
多様化が叫ばれてる今、簡単に語れなくなってます。
この本はそこらのモヤモヤ感を薄めてもらうのに役立ってます。
自己啓発本ではないのできちんとデータを集め検証し学問的見地から意見述べられているので大変分かりやすい。
元々、脳科学やロボット工学で人々を幸せにしたい思っていたそうですが、まずは人間の幸福のメカニズムを明らかにしたいという動機から幸福学の研究が始まったそうな。
そして幸福についての調査研究の結果、次の4つの項目をあげられていました。
(※ちなみにこの調査では日本人1,500人に幸福に関連した項目のアンケートを実施しコンピュータで因子分析しています。)
①やってみよう(自分の得意なことを伸ばす楽しみ・自己実現・成長)
②ありがとう(感謝・人を喜ばせる・愛情・つながり)
③なんとかなる(楽観・気持ちの切り替え・前向き・自己受容・積極的な他者関係)
④あなたらしく(マイペース・自己信念の明確傾向・社会的比較傾向のなさ・最大効果の追及のなさ・積極的な他者関係・独立)
どこかに自分にも当てはまる項目あるんではないでしょうか?
本の中ではこの4つを満たすように心がけていたら、幸せになるのではないかという結論でした。
そうはいっても中には先天的な気質により幸福感を感じにくい人もいるかもしれません。
けれどもそれは後天的な努力で変化出来るそうです。
そのカギを握るのは自分を俯瞰でみる癖づくり。
認知科学では「メタ認知」と言うらしいです。
自分の喜怒哀楽を客観的な視点で観察してみる。
そうすると自分の振る舞いの問題点が浮き彫りになり問題点がわかれば、あとは改善すればいい、というワケです。
じゃあ、どうやってというと一つ面白いやり方が書かれていました。
それは「カレンダー〇✕法」。
以下本文から「カレンダー〇✕法」について引用
↓
”手帳を用意します。
毎日、寝る前など、一日の終わりに、今日はいい日だったかどうか振り返ります。
そして、幸せな日だったら〇、
不幸せだったら✕、
中くらいだったら△を、
手帳に書きます。
出来れば、その理由を簡単に書き添えておきます。
これを毎日繰り返すだけです。”
著者は「カレンダー〇✕法」試してみたらしいんですが、そこで気づいたのが「自分の幸せと感じる瞬間は何か新しいことを思いついたり仕事で成果を上げた時だと思っていたら、新しく面白い人に出会ったときや誰かと意気投合したり、誰かと一緒に始めたなど対人的な幸せを感じる時」だったそうです。
そういうことであれば、と今までよりたくさん人に会うようにしていくと普段の考えや行動が変わっていったらしいです。
素敵な体験ですよね。
感じ方はそれぞれですのですべての人が同じような気付きがあるわけではないとは思いますが
もし新たな自分を見つけられたらラッキーてな感じで気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
このご時世もありストレスによる不眠や不調は増えていますね。
長引く自粛生活、ゴールが見えない先行きの不安、同調圧力の息苦しさ、吐けない弱音。どれもシンドイ。
著者曰く、「日本人は世のため人のために自己犠牲のスタンスが好き」だが、それは「みんなで苦しさを分け合う儒教文化の思想が根強く残っているから」だそうです。
日本人、もうちょっと自分を大事する方へそろそろシフトしていってもいいですよね。
著者の提唱する「幸せに気をつける」が「健康に気をつける」のと同じくらいもっと日常に定着すればいいなと思いました。
今回ご紹介した内容はほんの一部分。
他にも参考になる情報色々ありました。
案外わかりやすく楽しめて読めたのでご興味あれば手に取ってみてください。
参考:幸せのメカニズム 前野隆司著 講談社現代新書
みんなの介護HP 賢人論。https://www.minnanokaigo.com/news/special/takashimaeno2/